本で読んだり、話を聞いて理解するよりも、
研修では体感できる要素が多かったり、じっくり時間をかけますので、
新しいやり方や知識は比較的理解しやすいと思われます。
実際に現場でも出来そうな気になることがあると思います。
しかし、現場で活用してみるとなかなかうまくいかないケースがほとんどです。
以前の記事でも書きましたが、研修はあくまで気づきの場であるということです。
知識の習得とスキルの体得は違います。知識の習得は理解し、わかることであり、
スキルの体得はやってみて、できるようになることです。
この点をごっちゃにして考えると研修の目的が不明確なコンテンツになったり、
過剰な研修効果を期待し、客観的な研修評価ができなくなります。
スキル習得を急ぐと、わかることを無意識に優先し、成長に必要な要素十分に把握せずに、
表面的なノウハウだけを捉えて、使える使えないの判断をしてしまうことがあります。
本質的で、重要なものは非常に抽象的であることが多く、深い理解がないと
大切なことをないがしろにしてしまいがちになります。
例えば、コミュニケーション研修で相手との信頼関係を構築する手法として、
「相手の話を聞き、興味を示す質問をすること」を学んだとします。
信頼関係を築こうと、一生懸命聞いて、質問してもなかなか効果がでなかった場合、
このノウハウは使えないと判断して、継続的に意識して実践しなくなります。
また、研修でも、「この場合はどうすればいいのか」という各論の質問も多いのですが、
それがすべてのケースに応用出来ると思い込むことは非常に危険です。
ビジネススキルで万能なノウハウは基本的に存在しません。ベターな方法があるだけです。
必要なことはできるまで実践することであったり、経験を通じて知識も体で感じで
理解することであったりします。どうしても成長を急いでしまうと、すぐに使えるノウハウに
走ってしまうことになります。教育は時間がかかることを十分に認識し、研修やOJTを
設計していきましょう。
○継続的実践が必要なこと
○振り返りが必要なこと
○成長に時間がかかること
を十分に認識して、設計し、受講者に対しても伝えていくことが大切です。